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【山 名】大岳山(1267) 【日 程】95.12.31〜96.1.1 【山小屋】大岳山荘 【コース】 @御岳山ケーブル駅→奥の院 →大岳山荘(泊) A山荘→大岳山→鋸山→奥多摩駅 【同行者】他一名 【天 候】晴れ |
山にハマって半年。一泊の山行に挑戦した。
なにせ、山小屋は初めてだったので手頃なところを選んだのが大岳山の大岳山荘であった。
山荘の展望台から見る夜景は百万ドルの夜景との評判で、初日の出も楽しみであった。
御岳登山鉄道の御岳山頂上駅を10時50分に出発。
長尾平を経て、奥の院を通過し、大岳山荘に到着したのは午後1時40分過ぎであった。
山荘のロビー(?)には既に5〜6人が薪ストーブを囲んで談笑している。
同行の友人は昨晩一睡もしていないといって先に寝てしまった。
私は、展望台に出て酒を飲みながらカメラを三脚にセットしたり、夜景の方向を定めたりしていた。
大晦日だというのに、風もなく暖かく穏やかな午後であった。
やがて、真っ赤に燃えた夕日は富士山の裾にゆっくりと姿を落としていった。
写真を撮り終え「燗番娘」も空になったので山荘に戻った。
山荘はいつの間にか大勢の人であふれ返っていた。
同行者を起こし、ストーブの周りに固まった。
そこに2階から降りてきた坊主頭でガタイの大きな男が突然大声を出した。
「おい! 小屋の主人はどこだ! 出てこい!」と、怒鳴る。
私を捕まえて「おまえ、宿のもんか?」と言う。
どうやら酔っぱらっているようだ。
見る限りでは山ヤではない。たまたま山行に同行しただけの感じであった。
なにが起きたか知らないが、やたらと周囲に大声をまき散らしていた。
夕食はカレーライスと年越しそばであった。
その男は私の前のテーブルに座った。
「なんだ! メシはカレーか! まったく!」
山荘の食事に文句を付けるかと思ったら
「まったく! 俺はカレーは好きなんだ」だって (^ ^ ;;;
周囲に迷惑をまき散らし放題のこの男、ここまでは序文でしかなかったのだ。
ますますテンションが上がって、9時を過ぎても布団に入らず階下で大声で怒鳴り散らし、
しまいには歌まで唄い出す始末。
そのうち、みんな寝静まった2階に上がってきて、ここでも怒声を部屋中に響かせた。
酒癖がよほど悪いのだろう、言葉が乱暴で、酔っぱらいの喧嘩風なのだ。
小屋は満員で、布団一枚に二人半といったところか。
彼はやっと布団に入ったが怒声は止まず、
「おい! 紅白歌合戦はどうなった? えぇ! ラジオを付けろ!」
「じぁ、これで聴け」とパーティの一人がイヤホンを渡した様子。
「おぅ、白組が勝ってるな」などと言いながら一緒に歌を唄い出す。
なぜパーティーの仲間が注意をしないのだろう?
よほど恐い男なのか、それともなにかこの男に弱みでもあるのか、最後まで謎であった。
男はやっと寝た。
しかし、安堵したのもつかの間、今度は鼾だ。
その鼾の凄まじいのなんの、崖崩れが起きたのかと思った。
「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!! プシュー」
「ぐわわわわわわわわわッッッッッッ!!!!! ヒュュゥ、ピシュー」
とっても眠れたもんじゃない。
男の鼾はやがて治まっていった。 すると突然! 「このバカヤローーーーーーッ!」 「コノヤロー」 なんと、寝言だ。 とうとう小屋中の人たちは一睡もすることができなかった。 |
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午前5時過ぎ。初日の出を撮るため展望台に向かった。
三脚に付けていた35mm一眼レフが雲台からポロリと落ちてカメラを壊してしまった。
おかげで日の出は撮ることができず。壊れたカメラをザックにしまった。
山小屋の悲惨な出来事であった。
私はこれを「山荘の悲劇」と名付け、後生に語り継ごうと思っている(←冗談)。
長文ご購読有り難うございました。