急坂を下り切ったところで身体が暖まってきたのでカッパを脱ぎ、ひと休み。 まずは危機を脱したと、一安心。 一服の後、歩き出した。 暫く行くと、まっぷたつに裂けた大木が無惨にも白い内蔵をむき出しにしている。 先ほどの雷が襲ったものだ。まだ煙が立ち上っている。 頂上ですれ違った女の子はどうしたろう。 時間的にここら辺で落雷に遭遇しているはずだ。 無事に下山しただろうか? そんなことを考えながら先を急いだ。 |
![]() |
あと15分ほどで三室山だ。
この時、またしても雨が降り出し、小粒の雨はすぐに大粒の雨となり、激しさを増してきた。
大急ぎで傘を出し、先を急ぐ。
雷もゴロゴロと背後から追いかけるように鳴り出した。
お天気判断の誤りを悔やんだが後の祭り。
三室山の分岐に着いた。
来た道を分けて左にはいる。巻き道を行く。
辺りが一瞬のうちに真っ暗になり、闇夜に放り出されたよう。
ヘッドランプを取り出し、ソロソロと歩みを進める。
子供の頭ほどあるガマカエルがこちらをにらんでいた。
見るとカエルは5〜6匹くらいいただろうか。
巻き道は傾斜が強く幅は30センチくらいしかない。
知らない道は危険だ。来た道を戻ろう。
急いで引き返す。
![]() 翌日朝刊の記事 「関東甲信地方では22日、停滞する寒冷前線に湿った暖かい 空気が流れ込んで大気の状態が不安定になったため、 局地的に雷を伴った激しい雨に見舞われた。 東京都青梅市で午後3時からの1時間に65mmを記録した」 |
ザンザンと降り注ぐ雨は、山道を伝って川になって流れていく。 カッパを着る間もない。用をなさない傘をさし、ひたすら下る。 滝と化した山道は登山靴はおろか、ふくらはぎまで浸している。 ピカ! 頭上で閃光が走る。一瞬白昼の輝きが辺りを照らす。 ど〜ん! 落雷だ! 思わず身をすくめる。 身体はすでにびしょ濡れ。 無我夢中で歩く。 やっと、見覚えのある登山道入り口の鳥居が目に入ってきた。 助かった! 舗装道路に出ると前身の力が抜けた。 しかし、冷え切った身体の震えはいつまでも止まらなかった。 |
長文を読んでいただき有り難うございました。